83歳の父から学ぶ

人生哲学

2025年1月18日、土曜日。

介護施設に入所している父が、半年ぶりに家に帰れることになった。一泊二日という短い時間だが、家族で過ごす貴重な週末だ。

父の現状

父は現在83歳。数年前に脳出血を起こし、命は助かったものの、それをきっかけに要介護状態となった。倒れた当初はコロナ禍で面会も制限されていたが、父はリハビリを頑張り、いつも前向きだった。認知症も併発したが、正気な時間も多く、自分の状態を理解していることに驚かされることもあった。

しかし、時間の経過とともに少しずつ症状は進行。特に認知症の進行が悲しい。以前から支離滅裂な発言はあったが、その頻度が増え、イライラして母に強くあたることも増えた。身体の動きも衰え、今ではヨロヨロと歩くのがやっとで、簡単に転びそうで危なっかしい。

トイレでは用を足すことはできても、ズボンや下着の上げ下ろしができないため、オムツが欠かせない。食欲は旺盛で、胃がんの手術を受けた70代を乗り越えた胃腸の調子は良さそうなのが救いだ。

脳出血の影響で空間認識能力が損なわれ、箸で食べ物をつまんだり、食器を持つのが難しい場面がある。そのため、食事中にこぼすことも多い。こうして日常の多くの場面で介助が必要になり、24時間の支援が欠かせない。

施設のスタッフが父を支えてくれていることには、本当に感謝している。たとえそのサービスに対価を支払っているとしても、彼らの手助けがなければ、家族だけでは到底やりきれないと実感している。

思うこと

元気で現役だった頃の父と比べると、どうしても切なく、悲しい気持ちになってしまう。それでも、ふと「父は老いるという現実を私たちに教えてくれているのかもしれない」と思うことがある。

誰もがいつかは死ぬ。その事実を忘れずにいれば、生きていることそのものがどれだけありがたいことか気づけるはずだ。家族や大切な人、そして自分自身。限りある命だからこそ、今この瞬間を大切にしようと改めて思う。

とはいえ、私はまだ未熟で感情的な人間だ。父が認知症の影響で支離滅裂な話をしたり、母にイライラをぶつけたりする姿を見ると、優しい気持ちで接するのが難しい時もある。それは母も同じで、父のわけのわからない話に対して、つい否定的な反応をしてしまうことがある。老々介護の厳しさを痛感し、やはり父が施設でお世話になるのが最善だと感じている。

今後の向き合い方

父がめちゃくちゃな話題をしても、できるだけ否定せずに「そうなんだね」「へえ、そうだったんだ」と受け入れるよう心掛けている。これが難しいのだが…
短い時間ではあるけれど、父との限られた時間を大切にしよう。
そして、自分自身が人生を楽しむことを忘れないようにしたい。

お父さん、人間の老いはどんなものなのかを見せてくれて、ありがとう。
これからも勉強させていただきます。

*写真は初詣で訪れた神社にあった花手水です。

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